アルデンテ
アルデンテ前略
いつもながら、大変大変ご無沙汰しております。新年のご挨拶も出来ないまま、気が付けば、2024年も上半期が終わろうとしています。ご挨拶も大変遅くなり、今更ですが、本年も何卒宜しくお願い申し上げます。それにしても早過ぎる！この数か月、子供の行事やらなんやらで、色々なことがありましたが、またいつか地道にコラム化しようと思います(笑)。そういえば、三月にある知り合いから、突然、”まりコラム全然更新されてないじゃないですか～～！”と言われ、え～？この方も見てくれてるんだあ～と素直に嬉しかったです。まあ、社交辞令かもしれませんが、この歳になると、社交辞令でも何でも喜んだりするものです、はい。そう言われて、今回は新年からずっと温めていたことを書きたいと思います。
今年も正月は、最近は減りつつある年賀状を見ながら過ごしていました。年賀状というのは、日頃連絡をいつでも取りあう方というよりは、ほとんど取らない方の様子を伺える楽しみがあります。私もこの歳、あの方はそうなると、もうこんな歳だと思うけど、元気に過ごされているかなあという意味が多いような気がします。元気な以前と変わらない筆跡を見ると、あー良かった、お元気でいらっしゃる、とホッとしたりしながら、その方との昔の思い出にノスタルジックに浸ったり出来るのが、お正月であり年賀状だなあと思います。
そんな年賀状の中、一枚、私が毎年送る、私のゴルフ熱の始まりとなったレッスンの先生のお父様からの
年賀状がありました。？、なぜ先生ではなく、お父様？嫌な予感しかしませんでした。いつもなら、ゴルフやってますか？という簡単なメッセージとメガネマークを描いた年賀状です。お父様からは、二年前に息子は他界されたという内容でした。？？？？？？？？一瞬夢かと思うくらい、信じられない一文でした。あんなに、爽やかで、あんなに元気で、明るく、優しい、健康一色のような先生が？？？事故？何？涙も出ないくらいの震撼でした。居ても立っても居られず、失礼とは思いましたが、年賀状に書いていた電話番号でお父様にお電話をして事情を聞きました。よく聞くと、数年間闘病されていたとのことでした。病気とは全く無縁と思っていた先生が、闘病しながらもレッスンを続けていたとのことでした。憔悴されていたお父様、わざわざ年賀状まで本当にありがとうございました。
私が先生のレッスンを受け始めたのは、約22年前くらいです。その頃は、まだ生徒さんは少なく、時間も割と行きたいときに予約を出来る感じでした。しかし、その後から、宮里藍ちゃんとかのゴルフブーム、タイガー効果などで、徐々に生徒さんが増えていき、レッスン体制もかなり変わっていました。先生の言葉で、二つほど忘れられない言葉があります。一つは、一番初めから言われていましたが、とにかく私は体が硬く、だからスイングも硬いのは当たり前。力尽くで手で打つ！見たいな暴力的？(笑)なスイングでした。
だから、いつも、”村田さん！またガチガチ！どうしちゃったですか？びっくりするくらい硬いです！
アルデンテ！忘れないでください！”とパスタの一番良い湯で加減をイメージして、柔らかすぎず、硬すぎず丁度いいスイングを、という意味です。いつも笑いながら、でも目は真剣に言ってました。
アルデンテて、言葉....
人間的にも調和が取れたイメージですよね。硬すぎず柔らかすぎず、甘すぎず厳しすぎず、その頃から自分の仕事や生き方、子育てなど何でも、アルデンテを目指すようになってきた気がします。ゴルフ、そして山本先生の言葉、私の人生に大きく深く影響したんだなあと改めて思います。
そして、もう一つは、レッスン生がどんどん増えていった時期、”昨日大変な夢見たんですよ～。レッスン生がここからずーっとずーっとレーンに連なってて、誰から、どこから教えていけばいいかわからない！本当にど～しよ～、ていう夢なんです”と笑顔で話していました。それは、レッスン生がどんどん増えて嬉しいとても気持ちと、どの生徒さんもしっかり教えたいという気持ちが表れた言葉だったように思えました。私も、外来中、突然急患が入り、新患が入り、予定の患者さんたちをかなり待たせてしまい、あ～～～どうしよう～～～、ということがあります。そんなときに、いつも先生のこの言葉と、あの時の嬉しそうな先生の笑顔を思い出します。沢山の患者さんが頼ってきてくれるのは嬉しいことであり、先生のような笑顔になりたいと思いますが....なかなか疲れてるとなかなか。。。と言い訳を言うわけではありませんが、先生の域に達するには、まだまだ修行が足りませんね。と、山本先生の声が聞こえてきそうです。
もうすぐ、梅雨のこの時期、先生とラウンドレッスンしたことを思い出します。少し小雨が降るけど、気温は高く、夏の匂いがするゴルフ場でした。
カジカガエルが鳴くこの季節、”村田さ～ん、アルデンテですよ～。”
あの爽やかな笑顔の声が聞こえてきそうです。いつかまたラウンドレッスンしてください。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
MM
